強迫性障害

強迫性障害 曝露反応妨害の実体験

強迫性障害

この記事は、以下のような方へ向けています。

強迫性障害に悩んでいる方で寛解を目指すために曝露反応妨害に取り組んでいる方

曝露反応妨害がどんなものかを具体的に知りたい方

強迫性障害を良くするためには、強迫行為を無くすことが必須となります。

薬物療法では、経験上、正直限界があると個人的には感じています。重い症状の場合は、気分を落ち着かせるためにも必要ですが、最終的に強迫行為を無くすことに直接的に働きかけることは難しいと思ってます。

実際、私自身もかなりきつい薬を飲みましたが、副作用が強く眠気に襲われて、それで何も考えられなくなるようにしているだけでは?と思うくらい一日中眠く、仕事が本当に辛かったです。

そんな日々を過ごす中、本気で治したい!と一念発起して、以前から調べていた、なごやメンタルクリニックを訪ねました。全国からも患者さんが来られている有名なクリニックでした。

当時、私は20代後半で発症して3年目くらいで来院しました。

曝露反応妨害とは?

言葉の意味は、以下の通りです。

【 曝 露‗ばくろ 】恐怖の対象のものにあえてさらす

怖い・嫌だと感じるものに触れたりや不安になる行動をあえてすることで不安を最高潮まで上げる

【反応妨害‗はんのうぼうがい】曝露によって出た不安に対する反応(強迫行為)を妨げる

そのあとに強迫行為はやらないままに過ごしていく

集団行動療法

場所:なごやメンタルクリニック
現在、担当の原井先生は独立され、東京で集団行動療法を行われているようです。
第一人者で曝露反応妨害の集団行動療法を行われている方です。

内容:行動療法(曝露反応妨害)
年齢層:10-20代が多い(親御さんの付き添いの方も多かったです)が、30代以上の方も数名いました。

このプログラムに参加する前に、何度か診察が必要となります。

体験した集団行動療法の内容

※内容の時系列は入れ違ってる可能性がありますので、ご了承ください。

まず、不潔恐怖の場合は自宅から絶対に汚したくない大切なものを全て持っていきました。

1日目

・クリニックはビルの一角に入ってました。そのビルのトイレを入口からくまなく手で床を触っていきました。埃や汚れがたまっていそうな洗面台の床の隅や、個室内で便座(それぞれが一番と感じる部分)・便器の中・汚物入れなどを触りました。

その後、一切手洗いはせずに不潔なままの状態で過ごしました。

※私は恐怖のため、泣きながら、先生に手を誘導されながら触りました。不潔恐怖でない人は結構淡々と実行されていたのが印象的でした。

その後、その手を洗わずに昼食を買い出しに行きました。

私はわざと洗っていない手を使って食べれるものにしようとおにぎりをチョイスしました。

※これはかなり前の体験になりますので、コロナよりも前のお話です。

そのまま他のプログラムをやって、一日目は終了しました。

帰る前に家に帰ったらやる“宿題”を言われました。

私はホテルへ戻ってから、“宿題”を実行しました。ホテルに宿泊自宅から持ってきた大切な洗えないものに触りまくりました。

ちなみに私の持って行ったものはPC・ドライヤー・お気に入りの本・スマホなどだったと思います。

ホテルのベットの中にも帰ってきたままの服装で寝転び、お風呂に入っても意味が無いようにしました。

2日目

2日目の始まりにそれぞれ前日に帰宅後、自分で取り組んだ曝露反応妨害の内容を皆に発表しました。

様々なプログラムをやり、昼食の時間になり、病院近くの中華店へみんなで向かいました。

それぞれに好きなものを注文し、待っている間に皆で店内のトイレへ行き和式の便器内を触りました。

もちろん、この後手洗いはせずに食事しました。

食事は一口わざと残して帰りました。先生がすべて綺麗に食べきらないのも治療と仰っていました。

※不完全恐怖に対するものだと思います。

不完全恐怖への方には、この他にも洋服のパーカーのフードの紐を左右非対称に垂らすなどやっていらっしゃいました。

海外のバナナナメクジを食べてる人の動画を見ました。※これは虫が怖い人へのものだと思います。

これはCBTの先生から聞いたお話ですが、駅前の椅子(ホームレスの人が座っていた同じ場所)に座る ということをやったそうです。

3日目

皆でディスカッション?のようなものをしました。

それからマインドフルネスをみんなでやりました。ビルの上層階の窓から地上の人々や風景を眺めて、何が見えるか、何が聞こえるかなどを実行しました。

全てのプログラムが終了した後、それぞれの自宅へ帰宅しました。

私は、親が迎えに来てくれていたので、車で帰りました。

自宅に着いた後は、集団行動療法で“汚した”大切なものを自分の部屋に戻し、ベットの上に帰ってきたままの服装で手も洗わずに寝転びました。

※これが一番重要です。クリニックに居る時にどんなに一生懸命やっても、帰ってから拭いたり、着替えたり、お風呂に入ってしまっては、すべて水の泡です。

さすがにゾワゾワしましたが、それが最高に効きました!!

集団行動療法を受けた前後の変化

実際に受ける前と受けた後の自身の変化を書きます。

参加前

・自分の部屋にはお風呂上がりの自分以外、誰も入れませんでした。
・外出先のお手洗いが怖くて、緊急時以外はほとんど使えない状態でした。
・手洗いや洗濯を何度もしてました。
・外から持ってきたものは拭くまたは洗ってから部屋に入れました。
・不安に駆られ、何も出来ずに寝込むことも度々あり、会社も休みがちで働けなくなってました。
・部屋のドアをしめ切っていました。

参加後

・自分の部屋に他の人やペットの猫が入っても平気になりました。
・小学生以来、初めて母親が部屋の掃除をしていました。
・外出も楽になり、劇的に症状が収まりました。
・手洗いや洗濯も一度で終わらせられるようになりました。
・断薬し、薬で体重が増加していたがダイエットや新しい仕事も決まりました。
・部屋のドアは常時開放することが出来るようになりました。

集団行動療法のメリット

先生やカウンセラーさんと行う事も多い行動療法ですが、私はカウンセラーさんと二人でやったこともあります。両方やった私から見て、集団でやるメリットを上げます。

1.先生やカウンセラーではなく、一般の人が一緒に取り組むことで“無理だ”と思うことができるようになる

前にも書きましたが、不潔恐怖でない人はトイレの曝露等は淡々とされていて、とても怖かったけど自分もやってみる気になりました。

2.自分以外の人の反応を確認することが出来る

私が怖いと思っているものを触った後の他の人の反応を確認でき、それを見ていると案外、私の怖がっているものなんて他の人にとってはこの程度のものなのかと気づけました。 

3.先生やクリニックの方はもちろん、他の参加者と色んなことを話しながら、時間を共有できる

家で一人でふさぎ込んでいた時は、本当に辛かったけれど、同じ病気の人と接することで辛い思いをしているのは自分ひとりじゃないと思えることが出来ました。

集団行動療法のデメリット

正直、あまり思い浮かびません。

ただ私は辛すぎて泣きながらやったので、ちょっと恥ずかしかったです。笑

まとめ

今世の中がコロナなので、なんとも言えませんが、私はやってよかったです。

かなり症状が改善され、家族が見ても劇的に良くなってるのが分かるくらいでした。

ただ半年くらいは”普通”に過ごせていましたが、トリガーとなる出来事でぶり返しました。

強迫観念は常にあることを意識していないといずれぶり返します。一か月に一度は自分でも同じようなことをやるなど、ずっと付き合っていく覚悟が甘いと私のようになる場合もあります。

決して、安くはない・甘くもない体験をされるなら、帰ってきた後も何か月後も徹底して、やっていくことをおすすめいたします。

ただ、私はこれらの体験により、コツを掴めたので、参加前のように仕事に行けなくなるなどはなくなりました。

以上、体験談でした。



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